親のありがたみを知る

私は24歳の時に地元の兵庫県から引っ越しして東京へと出てきました。 それまでずっと実家暮らしでしたので、人生初の一人暮らしのスタートでした。 学生時代に一人暮らしの友人などを見ていると、 何か少し大人になったような印象で羨ましいと思ったものですが、 もう学生ではないのでそういう気分ではありませんでした。 仕事をしながら初めての炊事、洗濯など本当にやりきれるのかと不安に駆られたことを覚えています。

仕事が始まるとそれはもうハードな毎日でした。 実家暮らしの時は最悪、親が起こしてくれると思っていた部分もありますが、 そういう訳にもいきませんし、洗濯も勝手にできているわけでもありません。 当然、ご飯も買ってばかりはいられないので自分で作ることになります。 そうこうしているうちに一日があっという間に過ぎ去り、毎日毎日疲れていた感じがします。

そんな日が続いたある晩のことです。 寝ようかと思って今までの暮らしを振り返ってみると、 母親が本当に偉大だということに気付かされたのです。 勝手に部屋を掃除されると少し腹が立って声を荒げてしまうこともありましたが、 自分で掃除をしなければいけなくなって気付いたことが、 部屋は2~3日放置しているだけでものすごく汚れるということです。

今までそのことに気づかなかったのは母が毎日掃除をしていてくれたからなのだと知りました。 ご飯もそうです。自分で作るものが本当に美味しくなくて、 母の料理に文句ばかり言っていた自分が恥ずかしくなりました。 実家暮らしを続けていたら、親のありがたみになかなか気づくことができません。 私にとって一人暮らしとは親のありがたみを知るとてもよい経験になったと思います。

一人暮らしでの食生活の変化

学生時代にひとり暮らしをした時、 自由に食事ができるからとインスタント食品ばかり食べている時期がありました。 一度買いだめしておけばお店に行き忘れても食事には困ることがありませんし、 お湯さえ注げばすぐに食べることができるという簡単さも大きなメリットでした。 しかしインスタント食品ばかり食べているせいで体型が変わり、 これまで着用できていた服も使い物にならなくなってしまいました。

さらに栄養のバランスが悪かったせいか貧血でふらつくことも多くなり、 病院で診てもらったところ栄養不足だと言われました。 そうした経験をひとり暮らしでしてからは、食生活を改善させようと心を改めました。

まずはインスタント食品を食べることをやめました。便利さゆえについ買ってしまっていたのですが、 それからは料理を手作りすることで健康的な食生活を目指すようにしました。 そのために始めたのが、食材を八百屋で買うということです。 八百屋なら売られているものは主に野菜や果物が中心ですから余計な商品を買うことはありませんし、 八百屋の店員さんと仲良くなることで、 野菜の旬や含んでいる栄養素などについても学ぶことができたのです。

野菜を自分で買うようになってからは、食生活も大きく変わりました。 最初は簡単な野菜炒めなどが中心だったのですが、 次第に野菜を使った色々なメニューを作れるようになったのです。 料理について学ぼうとすると面倒な点が多いだけに、 こうして自然に料理に親しむことができたのは大きな収穫でした。

一人暮らしの何気ない風景に憧れ

30歳になるまで家を出たことはなく、ふと気が付けば一人暮らしを始めて約10年になります。 家にいる頃は、憧れもあった一人暮らし。今では一人暮らしだったなそういえば、というくらい、 基本、スタンダードになっている気がします。 初めはひとり暮らしといっても会社の寮で、すぐ前に同じ職場の奴がいたり、寮の食事はないまでも、 会社の社員食堂で食べるといった具合で、完全なそれではなかったように思います。

3年ほど前に、初めて賃貸のアパートというものを利用し、これこれ、これが一人暮らしだよ、 と思った記憶があります。 今は一応会社の寮というものの、民間アパートの借り上げで、 実質賃貸アパートに住んでいるのとかわりません。 家賃はしっかり取られますしね。 しかし思ったより綺麗なアパートで、なんだかんだで納得しています。

料理もようやく料理と呼んでもいいのかな、 というくらいのモノが作れるようになりました。 包丁を使うことが、今は楽しく思えます。 ただ、基本食いしん坊なので、作るのも待ちきれない!と速攻でうどんを茹でて出来上がり、 としてしまうことはしょっちゅうです。

一人暮らしのメリットとして、 正直なところ彼女とか出来たら色々楽しいんだろうと思ったりするんですが、 残念ながら今もうイナイ歴7年です。 彼女と一人暮らしの部屋を楽しんだ記憶がまだありません。 ご飯作ってあげたり、作ってもらったり、そんな何気ない風景にやっぱりまだ憧れがあります。